議会報告

第66回宗議会 議会報告(2018年5月24日~6月5日)
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宗派立開教拠点設立過程において見えてきた問題とは

  • 問題の所在
     宗派は、2009年に、川崎市の解散する三門徒派の寺院を買い取り、その寺院を首都圏における大谷派の開教拠点の一つとして設立しようとします。これは、その寺院を大谷派の宗教法人として設立するにあたって、宗派における手続きに大きな疑義があるという問題であります。
     問題点は二つです。一つは、財産処分事案にも拘わらず、議会の議決を得ず、通常宗務のように処理し、すべてが完了してから議会に諮るという議会無視、そのものの行政手法を取ったことです。いま一つは、そのことを宗派内に周知する公告において、「償還」と「譲渡」いう表現を取りますが、それらは事実を言い当てるものではないということです。言うまでもありませんが、償還とは借りた金額を返済することを表わしますが、実際は、宗派が取得するに要した経費を宗派自身が回収したのです。そして、その償還と譲渡が1つになる時、譲渡は有償譲渡という理解を生みますが、内実は無償譲渡、寄付であったということです。
     ここでは、議会無視ということに焦点を当てて報告したいと思います。
     なお、ここで取り上げようとすることは、当該寺院になんら瑕疵や問題があってのことではありません。こうして問題化することによって、当該寺院に関係されている方々に不快な思いを与えているとすれば、全く本意とするところではありません。当該寺院のご門徒・ご寺族の皆さんには、大谷派の開教寺院として、ますますご活躍、ご活動下さいますよう念じています。
  • 議会無視
     宗派は、○○寺が宗教法人格を取得するにむけて、所轄庁である神奈川県庁からの要請に応えるかたちで、2014年3月に、○○寺との間で覚書(資料―1)を締結します。その内容は、○○寺が宗教法人格を取得した時、当該土地・建物の所有権移転登記手続きを行うことを、真宗大谷派の代表役員の名で○○寺との間で取り交わしたものです。
     この不動産の所有権移転登記というものは、平たく言えば、宗派の財産を処分し、相手に寄付するということです。この覚書は、○○寺との間で交わされたものではありますが、同時に神奈川県庁に対して、宗派の意志を示したものでもあります。
    一方、財産処分にあたっての宗派においての手続きは、財産管理審議会に諮り、そのうえで、参与会・常務会(宗会閉会中に議決権を有する機関)において議決されることが必要であります。
     ところが、覚書の内容が財産処分なしに出来ないものであるにもかかわらず、参与会・常務会という議会に全く諮ることもなく、覚書を宗派の代表役員の名で締結しています。
     また、神奈川県庁に対して、宗教法人設立認証申請を○○寺が提出する時には、当該土地・建物が○○寺の基本財産であることを証明する「宗教団体であることの証明書」を宗務総長の名で交付しています。その証明書と覚書が一つになる時、法人設立時には、その土地・建物が○○寺の所有であることを宗派が神奈川県庁に証明するものとなります。
     実際、2014年3月18日に前述の覚書を締結し、2016年10月18日に、当該不動産が○○寺所有であることを証明する「宗教団体であることの証明書」を交付し、それらのことを受けて、2016年12月2日には、神奈川県知事が宗教法人設立を認証し、12月5日に、宗教法人○○寺が設立登記を済ませています。そして、12月18日には、○○寺設立奉告法要が勤修されました。
     このように、具体的な法人設立にあたって、議会の議決はじめ、財産管理審議会の承認を得ることもなく奉告法要まで済ませ、つまり、すべてを済ませてから、翌年、3月27日に財産管理審議会を、そして、4月24日に参与会・常務会を開催して財産処分の議決を得ています。果たして、すべてが完了してからの、この議決は如何なる意味を持つものなのでしょうか。
     この宗務執行手法を議会無視と指摘しているのです。
  • 当局の答弁
    1.覚書は、財産処分には該当しない。(5月28日、担当参務の答弁)
     覚書には、○○寺が法人格を取得した時、所有権移転登記手続きを行うと、○○寺と取り交わしていながら、それは、財産処分を意味するものでは無いというわけです。所有権移転登記は、財産処分そのものを指す言葉ではないでしょうか。
    財産処分しないで、所有権移転登記が可能な魔法でもあるなら教えていただきたいと言いたいですね。

    2.覚書にある○○寺が法人格を取得した時、というのは、それにより宗派において、所有移転登記の手続きを行うことをいうものであり、それから財産管理審議会を開き、参与会・常務会を開催し、財産処分の公告を行い不動産登記をした。
    (6月4日、総括質問における当局答弁 趣意)
     お聞きした時には、まさにあいた口がふさがらないというのが最もぴったりな表現といえるでしょう。反論の元気さえなくなるような詭弁は、いい加減にしてもらいたい。当局の答弁は、「所有権移転登記手続」の手続は、宗派内手続きを指すもので、法人格を取得したことにより、それから、宗派内手続きをはじめるものであり、財産管理審議会、参与会・常務会を開き対応したというものです。
    しかし、資料―1を確かめていただきたい。これが記されているのは、第2項「所有権の移転期日について」の項目であります。所有権はいつ移転するのかという項目で、それは「宗教法人格を取得した時」と明確に記されてあり、「所有権移転登記手続を行う」と書かれています。そこで言う手続は、所有権移転登記するにあたっての事務上の処置そのものを指し、不動産登記簿上の登記ではないが、実質上の所有権の移転がなされることを記しているのです。その事情を神奈川県庁はよく認識して、その後の認証に繋がっていきます。申すまでもありませんが、土地・建物の基本財産を持たない宗教団体には法人格は認められないからです。
     「所有権の移転期日」という項目で、もし、当局答弁に沿えば、宗派内手続きが終了した時とでも書かれているのなら、手続きは宗派内手続きを指すというのももっともですが、この覚書を読んで、そこから宗派においての手続きは始まるなどとは、決して読み取ることは出来ません。「所有権移転登記手続」の手続を宗派内手続きとみるのは、すり替えも甚だしいと言わざるを得ません。
     また、この覚書は神奈川県庁から審査資料として要請されて作成したものであり、神奈川県庁の関心事は、宗教法人設立認証を付与するにあたって、○○寺が境内土地・建物を基本財産として有しているかどうかであり、宗派内の手続きがどうなっているかなどについては、彼らの全く関心のないところであります。

    3.覚書を交わした法的根拠については、内局の宗務執行責任として行ったということ。宗憲44条、「宗務執行の権限は内局に属する」に基づいての執行。
    (5月31日総長補足答弁)
     財産処分を前提とする覚書を取り交わすにあたって、事前に議会の議決を得ることもなく進めた法的根拠を示してほしいという質問に対する総長の答弁であります。表現を変えれば、総長に如何なる権限があって、大谷派の財産を○○寺に寄付しますよという約束ができるのかという質問であります。それに対して、それは内局の宗務執行権によって行ったものだというわけです。つまり、財産処分の踏むべき手順は記した通りであるが、その手順を無視してでも、宗務執行権なるものを有する内局には、財産処分は出来るという不誠実なだけではなく、大変危ない答弁であります。
     当局は、説明責任を果たすこと無く、詭弁を弄して、あるいは、その場逃れの強弁をもって、事態を有耶無耶にしようとすることに終始しました。
  • 内局不信任決議案提出
     議会無視という宗務行政手法を取ったのではないかという疑義がある中で、質問に対して明確な説明責任を果たそうとしないだけではなく、財産処分を約束したのは、「宗務執行の権限は内局に属する」という宗憲44条をあげ、内局に付与されている宗務執行の責任として行ったものであると強弁をします。この答弁は、居直りとも取れますが、単なる居直りと見過ごせるものではなく、恣意的に宗務執行の権限を拡大解釈するものであり、宗門法規を無視するものであります。宗門法規を遵守しない内局にわが宗門の宗務を任せることができず、議長に内局不信任決議案を5月31日、提出しました。
     採決は、与党と無所属が反対し、賛成はわれわれ10名で、賛成少数で否決されました。
  • この度の問題が提起したこと
    1.議会と宗務行政との間に緊張関係はあるか?
     この度の問題は、議会と宗務行政との間に緊張関係が確保されていたなら、決して起らなかったことであろうと思われます。今回のことで言えば、神奈川県庁への一切の手続きが済み、宗教法人設立奉告法要まで勤修して、それから、議会の議決を得ようとするのですが、もし万一、そこで否決でもされれば、多くの所に多大なる迷惑をかけるでは済まされないことになります。しかし、内局は、否決されることなど微塵も考えていないからこそ、すべてが終わってから議会にかけることが出来たのでしょう。
    そして、宗議会もまた、当局提案の議案を否決するなどとんでもないことだという信仰にでも取りつかれているのかと疑いたくなるほど、問題があっても修正もしないで(資料―8)可決していきます。
     宗議会が当局提案の議案を否決しないのですから、わが宗議会は、議決機関というより、承認機関、あるいは議案通過機関であると言った方が実状を言い当てているかもしれません。このような中で、いかにすれば、宗議会と当局との間に緊張関係を醸し出すことが出来るのか。全く道筋は見えません。しかし、はっきりしていることは、否決も含めて議決なのだということを宗議会が当局に示せるかどうかという、極めて当然のことが問われているということなのでしょう。
     このように記すと、あなた方自身は、大谷派議会人としてどうなのだというご批判が聞こえてきそうですが、知恵が無く、力もないために、承認機関でしかない議会を支える一人であることを超え出ることが出来ずにいます。

    2.首都圏開教のあり方を再検討する。
     個人による首都圏開教が困難であるという認識のもと、宗派立の拠点づくりを目指して、いま、2例目が、千葉の行徳において進められています。一例目の場合には、もともと所属のご門徒がおられるなかでの法務執行による設立経費の回収に5年強要しています。一方、行徳は、全くの新寺建立ですから、門徒獲得からはじめる中で、設立経費を回収するにはどれ程の年月が必要であるのか、東京教区の人でも読めないという人が少なからずいます。
     また、開教を志す多くの人たちに対しての宗派の支援が十分なされているのかを精査することを含めて、こういう方途での開教が、最も適正で有効であるのか、充分再検討せねばならないと思われます。

    ※議会が過ぎ、まして不信任案が否決されることで、この問題に対して信任されたという間違ったメッセージを送ってしまうことになることを恐れます。
     疑義は全く明らかにされていませんし、財産処分が宗務執行の責任で行われるということを許していいのかという新たな問題さえ出てきています。機会あるごとに、説明を求めたいと思います

    ※資料の参照については、PDF形式でリンクしていますご参照ください。 【資料PDF】